ボディメカニクスを活用した介護技術6選
介護のボディメカニクスとは、身体力学の原理を活用した介護技術のこと。活用することで、負担を最小限にとどめながら効率的に身体を動かすことが可能です。介護職の職業病である「腰痛」は無理な姿勢で大きな力が加わったときに起こりやすいため、ボディメカニクスの原理を上手く活用して介助の負担を軽減しましょう。
1.支持基底面積を広く・重心を低くする
支持基底面積とは、床と接する足元の面積のことです。この支持基底面積を広く取ることで自然と重心が下がり、体勢を安定させることができます。安全に安定した身体介助を行うための介護技術の基本姿勢といえるので、しっかり覚えておきましょう。
2.利用者さんにコンパクトな姿勢を取ってもらう
寝ている状態から起こしたり体勢を変えたりする際は、利用者さんにコンパクトな姿勢をとってもらいましょう。両手を胸の前に重ね、両足は膝を揃えて立てれば、身体を小さくまとめることが可能です。このような姿勢を取ってもらうことで摩擦が減り、移動がスムーズに行なえます。
3.手先だけで動かず大きな筋肉を活用する
寝ている利用者さんを介助する際は、手先だけで動くのではなく、腹筋やももの筋肉、おしりの筋肉など大きな筋群を活用するように意識してください。手先だけを使って介助するのは、一つの筋肉に掛かる負荷が大きくなります。また、手首や腰、背中などを痛める原因となるので、一点に負荷を集中させないよう大きな筋肉を同時に使いましょう。
4.介助者と利用者さんの重心を近づける
利用者さんとの距離が遠過ぎると、介助に大きな力が必要になります。介助する際は、できる限り利用者さんの側に寄り重心を近づけましょう。自身と利用者さんの重心を近づけるのは、楽に介助を行う介護技術の一つです。
5.てこの原理を利用する
仰臥位(仰向けに寝ている状態)から端座位(座る姿勢)を取ってもらう際は、無理に動かすのではなく、てこの原理を使いましょう。人ひとりを動かすには大きな力が必要ですが、支点を適切な位置におけば最小の力で動かすことが可能です。ただ全力で利用者さんの身体を持ち上げるのではなく、支点を作って力点に自分の体重を乗せることで、介助者に掛かる負担が少なくなります。
6.水平を保ったまま手前に引く
利用者さんを移動する際は、水平を保ったまま手前に引く「平行移動」を心掛けることも介護技術の一つです。斜めに動かそうとしたり持ち上げて移動しようとしたりする場合は、その分大きな力をつかう必要があります。自身の体重を乗せて平行に移動すれば、最小限の力で介助することが可能です。