福祉の資格 「介護福祉士」 株式会社リベルタ

2024.08.07

日常生活が困難な人に入浴や食事などの介護を行う

しごとの内容

介護福祉に関する専門的な知識と技術によって、身体上、または精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある人に対し、心身の状況に応じた介護(医師の指示のもとに行われる喀痰吸引等を含む)およびその人や介護者に対し、介護に関する指導を行うケアワーカーです。 具体的には、寝たきりや認知症高齢者、身体障害者、知的障害者など介護を必要とする人たちをケアしたり、介護に関する相談に応じたりします。また、掃除や洗濯、居室の整理整頓、調理などの生活援助、病気の初期症状の観察、服薬の介助、水分補給、通院の付き添い、医療機関への連絡、救急時の対応などの健康管理、家族や友人、近隣の人たちとの対人関係の調整・促進、電話の代行、余暇活動の企画と参加などの社会活動、さらには介護計画の立案や記録、家族に対する介護に関する指導や助言なども行います。 職場としては、施設と在宅に大きく分かれますが、いずれにせよ、常にサービスの利用者の生命の安全と人権の尊重を踏まえ、的確な介護を行う一方、本人の残存能力をできるだけ引き出し、自立支援することが求められます。

主な職場

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、訪問介護事業所、通所介護事業所、グループホームなどの介護サービス事業所、障害者支援施設、市町村、社協、福祉(系)生協

将来性

介護のしごとは、現状では必ずしも介護福祉士の資格を取得していなければできないわけではありませんが、就職をする際、介護福祉士の資格を必要とされることが増えています。また、体力的にきついしごとというイメージもありますが、高齢化の進行や国民の福祉ニーズの多様化などに伴い、将来性はますます高まっています。また、近年注目が高まっているのが「認定介護福祉士」で、介護福祉士の上位資格として介護サービスマネジメントを行うなど、地域包括ケアを推進させ、介護の質を高めることになっています。

登録者数

194万0,958人(2023年12月末日現在)  

勤務形態

勤務先が行政機関、団体、企業・事業所の場合は基本的に日勤ですが、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や障害者支援施設、訪問介護事業所などの場合、早番や遅番、夜勤、宿直などの勤務もあります。 なお、行政機関の場合、一般、または福祉行政職としての地方公務員試験、団体や施設、企業・事業所などの場合、それぞれの採用試験に合格してしごとに就きますが、福祉行政職の場合、有資格者が受験資格の要件となっています。

給与水準

行政機関の場合、地方公務員給与規定にもとづきます。団体や施設、病院、企業・事業所などの場合、地方公務員給与規定に準じて決める場合が多いですが、施設や社協、また、地域によってバラつきがあります。

資格取得のルート

資格取得のルートは、①養成施設ルート、②実務経験ルート、③福祉系高校ルート、④経済連携協定(EPA)ルートの4つに大別されます。詳細は社会福祉士振興・試験センターのホームページでご確認ください。 ● 介護福祉士国家試験|公益財団法人社会福祉振興・試験センター (https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html)

①養成施設ルート

 2016年度の卒業生までは、介護福祉士養成施設(2年課程)に進学、または福祉系大学など(指定科目を履修)を卒業後、介護福祉士養成施設など(1年課程)に進学する「養成施設ルート」により、卒業と同時に資格を取得できました。 2017~2026年度に卒業する人は卒業と同時に介護福祉士の資格が取得できますが、介護福祉士の登録を継続させるには卒業後、5年の間に国家試験に合格する、または卒業後、5年間続けて介護などの業務に従事することが必要となります。 なお、2027年度以降に養成施設を卒業する人からは、国家試験に合格しなければ介護福祉士になることはできません。また、2026年度に卒業し、介護福祉士の資格を得た人についても、介護福祉士の登録を継続させるには卒業後5年の間に国家試験に合格するか、または卒業後5年続けて介護などの業務に従事することが必要となります。

②実務経験ルート

 2016年度からは介護などの実務経験が3年以上あることに加え、実務者研修を修了していることが国家試験の受験資格となりました。実務経験の範囲についてはそれぞれの関連法規にもとづいて定められています。

③福祉系高校ルート

 指定された高校で介護福祉士として必要な知識と技能を習得した人、または高校で指定の教科目・単位数を修めて卒業した人、もしくは指定された高校で介護福祉士として必要な基礎的な知識と技術を修得した人で、介護などの実務に9か月以上従事した人については国家試験に合格することで資格を取得できます。 注:2008年度以前に福祉系高等学校(専攻科を含む)に入学し、卒業した人、特例高等学校(専攻科を含む)を卒業し、9か月以上介護などの業務に従事した人が「実技試験の免除」を申請する場合、「介護技術講習」を修了する必要があります。

④経済連携協定(EPA)ルート

 経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)とは、貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルールづくり、さまざまな分野での協力の要素などを含む、幅広い経済関係の強化を目的とする協定です。介護福祉士の国家試験の候補者になるのは、公益社団法人国際厚生事業団が紹介した受け入れ機関と締結した雇用契約に明示された受入施設で研修責任者の監督のもと、日本の介護福祉士資格を取得することを目的とした研修を受けながら就労するインドネシア人やフィリピン人、ベトナム人です。
資格のルート

試験の方法

試験は筆記と実技に分かれます。受験の申し込みはその年によって異なりますが、一般的には8月上旬~9月上旬の受付期間に社会福祉振興・試験センターに必要な書類を提出します。

①筆記試験

 1月下旬、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、福島、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、石川、長野、岐阜、静岡、愛知、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、島根、岡山、広島、香川、愛媛、高知、福岡、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の全国35の会場で一斉に実施されます。 筆記試験の方法は全問が五肢択一を基本とするマークシート方式で、「領域:人間と社会」(科目:人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解)、「領域:介護」(科目:介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程)、「領域:こころとからだのしくみ」(科目:こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解)、「領域:医療的ケア」(科目:医療的ケア)の計4領域11科目と総合問題について行われます(表1)。 筆記試験の合格基準は問題の総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した点数以上の得点があり、かつ表3の試験科目11科目群すべてで得点があった人とされています。

②実技試験・介護技術講習

 3月上旬、筆記試験の合格者だけを対象に行われます。会場はその年により、異なります。 具体的には、試験会場で与えられた問題に対し、実際にモデルを使って介護を行う方法で実施されます。実技試験の合格基準は課題の総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した点数以上の得点があった人とされています。この実技試験に合格し、介護福祉士登録簿に登録されてはじめて介護福祉士を名乗ることができます。 「養成施設ルート」を選択した人や「実務経験ルート」を選択して「実務者研修」を修了した人、「福祉系高校ルート」で「介護技術講習」を修了した人などについては実技試験が免除されます。

筆記試験

1 出題形式等

 筆記試験の出題形式は五肢択一を基本とする多肢選択形式とし、問題に図表などを用いることがある。出題数は125問、総試験時間数は220分間とする。

2 「総合問題」

 4領域(人間と社会、介護、こころとからだのしくみ、医療的ケア)の知識及び技術を横断的に問う問題を事例形式で出題する。

3 各領域の出題予定数

<表1 各領域の出題予定数>

人間と社会
人間の尊厳と自立
人間関係とコミュニケーション
社会の理解
18問
こころとからだのしくみ
こころとからだのしくみ
発達と老化の理解
認知症の理解
障害の理解
40問
医療的ケア
医療的ケア
5問
介護
介護の基本
コミュニケーション技術
生活支援技術
介護過程
50問
総合問題
12問

4 実技試験

介護等に関する専門的技能について
(注)筆記試験の合格者だけが受験できる。
<表2 試験科目の11科目群>
①人間の尊厳と自立、介護の基本
②人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
③社会の理解
④生活支援技術
⑤介護過程
⑥こころとからだのしくみ
⑦発達と老化の理解
⑧認知症の理解
⑨障害の理解
⑩医療的ケア
⑪総合問題

合格者状況

出典:「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」|厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32019.html)

資格取得のポイント

一般的には養成施設ルート、または実務経験ルートから資格を取得します。 なお、地域によっては地方自治体や社協が資格取得の希望者に修学資金を援助したり、受験対策講座を行ったりしているところもあるため、関係機関に照会するとよいでしょう。
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