入浴拒否の原因別の声掛けの方法  (株)リベルタ 

2023.06.17

介護施設で入浴拒否が起こる原因

まずは、介護施設において入浴拒否が起こる原因について詳しく解説します。介護施設に入所されている利用者さんは認知症を患っている場合が多いため、認知症の影響によって、入浴拒否が起こることも多くあります。また、利用者さんの性格によっても、拒否が出やすいこともあるでしょう。下記に、よくある入浴拒否の理由を6つご紹介します。ご自身の職場に入浴拒否が多い利用者さんがいる場合は、どの理由に当てはまりそうかを考えながら読み進めていただくと、より現場での声かけがしやすくなります。

「入浴」が理解できておらず不安に感じる

認知症の利用者さんに見られることが多い原因の1つです。入浴自体の意味が理解できておらず、今から自分がどこに行くのか、何をされるのかが分からないために不安が生じ、拒否に繋がってしまうパターンです。

入浴に対して嫌なイメージがある

過去に失禁や、無理やりお風呂に誘導されたり手順がわからないことを職員に見られたりした経験があったりすることで、入浴を嫌がるようになった利用者さんもいるでしょう。前回の入浴介助の際、そのようなことがなかったか、振り返ってみても良いかもしれません。

身体の不調がある

身体のどこかに痛みが生じていたり、だるさや熱っぽさがあったりすると拒否に繋がることもあります。普段は入浴拒否がないのに突然拒否された場合などは、身体の不調がある可能性を考慮して、注意深く観察すると良いでしょう。 このような原因で入浴を拒否される利用者さんがいる場合、どのように対応したら良いのでしょうか?

入浴拒否を減らす効果的な声かけと誘導の方法とは

続いて、入浴拒否の原因別に効果的な声かけの一例をご紹介します。拒否されにくい声かけのコツや拒否された際の対処法について、具体例を入れて記載しています。介護現場ですぐに使えるものを厳選してお伝えしますので、ぜひご自身の介護業務にお役立てください。

「入浴」が理解できておらず不安を感じている場合

「入浴」や「お風呂」といった言葉が理解できずに、不安を感じて拒否に繋がっている場合は、言葉以外での説明を試みてみましょう。風呂の絵を見せたり、タオルなどのお風呂グッズを見せたりしながら誘導のチャンスを探ってみてください。 また「お風呂」という単語を使わずに浴室に誘導し、お湯が張ってある温かい浴室を見たり、お風呂ののれんを見たりすると「今からお風呂に入るんだ」と理解が進むことも多いので、拒否が出ないワードを使いながら浴室へ誘導してみることからトライすると良いかもしれません。

入浴に対して嫌なイメージがある場合

無理な声かけは避け、自尊心に配慮したケアを心がけると良いでしょう。無理やり入浴させられた過去が原因であれば、利用者さん本人のペースをより尊重し、ゆっくりと誘導してみてください。また、入浴での失敗体験が背景にある場合は、必要以上の手厚いケアは避け、自分でできることを自分で行ってもらうことを意識して介助すると、自尊心を傷つけずに入浴してもらえる可能性が高まります。  

身体の不調がある場合

介護施設では、認知症等で身体の不調を上手く伝えられずに、拒否に繋がるケースも珍しくありません。入浴前の血圧や体温などを確認し、歩行状態や生活動作、食事量などを観察して普段と違う様子がないか注意深く見てみると、何かの異変に気付けるかもしれません。しっかりと様子観察を行うことをおすすめします。

入浴拒否があるときの声かけ以外の工夫

入浴拒否は様々な理由で起こります。上記でも解説していますが、理由・原因に合わせて、実際に浴槽を見せたり、入浴が連想しやすい物を見せたりするなど、声かけ以外の方法が有効に働くこともあります。 また、入浴への声かけや誘導を行う職員を変えたり、少し時間をずらして再度声かけをしたりするのも非常に有効です。時間が限られた中での業務で、時間や日にちをずらすことは難しい場合もありますが、できる限り利用者さんに寄り添ったケアが提供できるよう、検討の機会を設けても良いかもしれません。 さらに、入浴拒否が強い場合、いきなりしっかりと入浴してもらうことを目指すのではなく、ホットタオルで手や足を温めて「温まると気持ちがいい」「入浴して温まってみようかな」と思ってもらうことから始めるのもおすすめです。

入浴拒否のある利用者さんへのNG対応

どうしても入浴を拒否される利用者さんの場合、職員も心が折れそうになることもあります。そんなとき、無理やり浴室に連れていこうとしたり、 強い口調で声かけをしたりするのは絶対に避けましょう。 こちらのイライラや焦りは利用者さんに伝染し、さらなる拒否にも繋がります。また、その日は入浴できても、次回以降の拒否に繋がる可能性も出てきてしまいます。 無理やり誘導することや強い口調での声かけは避け、1人での誘導が難しい場合は、同僚や先輩に対応を代わってもらったり、手伝ってもらったりといった工夫も非常に有効です。

まとめ

本記事では、介護施設での入浴拒否の主な原因と入浴拒否がある利用者さんに対する声かけのコツを解説しました。介護施設で「利用者さんに入浴を拒否されてしまう」「声かけが上手くいかない」こういった悩みを持つ介護職員は多くいます。入浴拒否の原因は利用者さんの性格や認知症の進行度合いによって多種多様ですので、原因を正しく把握して、利用者さんに合わせた声かけが必要です。
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